| |
委員長 |
|
清水義範(作家) |
| |
名古屋のお気に入りの場所を舞台としたショートストーリー、という企画が当たりであった。名古屋が目に浮かんでくる佳作が多く寄せられ、とても充実していた。
大賞受賞作「カヲリの椅子」は円頓寺商店街とそこにある老人ホームを舞台としていて、この話ははたして名古屋の魅力を伝えているだろうか、という声もあった。しかし、ちゃんと伝えているのである。ここには、生きる人間の力強さがあり、それを支える街の力も十分に表現されていると思う。 |
|
|
委員 |
|
清水良典(文芸評論家) |
| |
名古屋の地名や場所を題材にするという場合、だれもが思い浮かべそうないわゆる「名所」、そして、いかにもそこにお似合いなストーリー、そういう紋切り型をどれだけ脱しているか、その点に私は選考の基準をおいた。いってみれば、受賞作によって新鮮な「なごや」を発見したかったのである。選ばれた三作のうち、「カヲリの椅子」の的確な人物描写に感動し、「熊の神」の想像力に唸り、「街灯りの向こうに」の構成力に感心した。 |
| |
|
| |
堀田あけみ(作家) |
| |
どの作品にも「私の名古屋」に対する愛着が感じられ、選ぶのは楽しかった。また「カヲリの椅子」「街灯りの向こうに」が、上手いという点で頭一つ出ていたので、私はあまり悩まなかった。いかにもまとまりの良い後者に対し、老人ホームを舞台に選んだ冒険心と脇役の魅力が、前者の決定打となったように思う。「熊の神」も、SFを持って来る度胸が良かった。 |
| |
|
| |
三田村博史(作家・中部ペンクラブ会長) |
| |
最終選考に残ってきた二十一編の中に、動物や幽霊といった異物を混入させて創ろうと意図した作品が多いのに驚いた。中で「カヲリの椅子」の日常性が一段勝っていたということだろう。たいしてドラマがあるわけでもない、事件がおこるわけでもないが、読み込むごとに滋味の伝わってくる正統的な作品が大賞に選ばれてよかった。
「街灯りの向こうに」はお父さんが喜びそう。
「熊の神」の世界が現実とならないのを祈る。 |
| |
|
| |
熊澤尚人(映画監督) |
| |
私は映画監督という仕事をしていますので、短編小説としてというよりも、映像的な面白いプロットはどれかな?という角度から、作品を拝見させて頂きました。「街灯りの向こうに」は淡々としたストーリーの中にも、印象的な美しいシーンがあり、とても映像的なところに惹かれました。今回第1回の作品募集ですが、他にも、行ってみたいなと思わせる名古屋の魅力的な場所を舞台にした作品がいくつか有り、好感が持てました。 |